ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 新小学3、4年生の勉強の仕方―作文力と読書力が最も伸びる時期 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 4003番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/10/18
新小学3、4年生の勉強の仕方―作文力と読書力が最も伸びる時期 as/4003.html
森川林 2020/02/09 10:40 

■小学3、4年生の勉強の仕方

 小学校3、4年生は、読書も作文もいちばんはかどる時期です。この時期の作文は、小学生のころのよさが最もはっきり出たものになります。小学生時代の記念の作文を書いているというつもりで取り組んでいきましょう。

 しかし、たまにごくわずかですが、この3、4年生の最も楽しく作文を書ける時期に、書くことが負担になったり、塾との時間的な両立ができなかったりすることで、作文の勉強を休んでしまう子がいます。

 小学校3、4年生で書くことが負担になる理由は二つあります。ひとつは、文章を読む力がまだ不十分で、作文に書く言葉を自由に使えないからです。ですから、この対策のためには、音読、暗唱、読書、対話によって、作文に使える日本語の量を自然に増やしていくことです。語彙を増やすというのは、毎日の家庭生活の中で気長にやっていくしかありません。

 書くことが負担になるもうひとつの理由は、作文を書いたあと、注意されたり比較されたりすることがあるからです。読む力をつける勉強を気長に続けていくためにも、子供の作文はよいところを褒め続けていくことが大切です。注意したり叱ったりして上手になる子はひとりもいません。作文も読書も、いつも温かい目で見守りながら、その一方で読む力をつける自習を丹念に続けていくことです。

 塾との時間の両立ができずに作文の勉強を休んでしまう子については、残念というほかありません。小学校3、4年生での塾での勉強は全く無意味です。子供に考える力がついてくるのは、小学校5年生からで、このころから学校の勉強のどの教科も考える要素が出てきます。

 しかし、5年生以降の考える勉強は、小学校3、4年生の勉強の延長にあるのではありません。小学校3、4年生の勉強がいくら進んでいても、それは小学校5、6年生での考える勉強の先取りをしたことにはなりません。考える勉強は、考える力が育っていなければできないのです。

 例えば、小学校6年生の作文の課題で、「○○は人間にとって……である」と考える練習があります。この練習は、「一般化の主題」と言って、身近なことも一般化して考える練習です。例えば、「友達とは人間にとって」「家族とは人間にとって」「朝ご飯とは人間にとって」などと考える練習です。内容的に優れたものを書く必要はありません。しかし、この「人間にとって」という考え方ができるかどうかは、知的な能力よりも年齢的な能力です。小学校3、4年生の子がどれだけ優秀であっても、この6年生で勉強する「一般化の主題」を先取りすることはできません。また、形だけできるようにしても意味がないのです。

 しかし、小学校5、6年生になって考える力をつける土台となる学習は、小学校3、4年生のときから進めていく必要があります。それが、小学校3、4年生になりに考える力です。その考える力とは、日本語を豊かに使える力です。

 小学校3、4年生に勉強的なことをしすぎると、問題集を解くような勉強が中心になり、その結果、考える力をつけるために最も必要な読書や対話の時間が削られてしまいます。特に、夜間の習い事に行かせるような勉強は最も弊害があります。どのように有名な塾であっても、小学校3、4年生の勉強は、しなくてもよいようなことを時間をかけてやっているだけです。その外見だけの勉強のために夜遅くまで塾に行くと、その結果、家庭で本を読んだり親と対話をしたりする時間がなくなります。塾によっては、家に帰ってまでやる宿題を出すところがあります。その宿題も、やはり問題集を解くようなものであれば、本当の学力はますますつきません。

 塾によっては、入試に合格した子が、小学校の低中学年から塾に通っていたということを宣伝する場合がありますが、それは低中学年から通っていたからではなく、低中学年から通っていたにもかかわらず、家庭での日本語生活が充実していたから高学年の勉強もやりとげることができたということなのです。塾のペースに合わせて、小学校の低中学年から塾的な勉強をしている子は、小学校高学年になるとかえって学力が頭打ちになります。低中学年は、学力の根を育てる時期です。点数として目につきやすい枝や花の部分に力を入れてしまうと、かえって肝心の時期に大きな花を咲かせられなくなるのです。そして、根を育てる勉強とは、家庭での読書と対話を中心にした日本語を豊かに育てる生活習慣なのです。

 小学校3、4年生は、親との対話が最も弾む時期です。この時期は、作文や感想文の課題も、子供の経験だけではものたりないので、親が似た例をいくつも話してあげることができます。親の話した内容は、必ずしもそのまま作文に生かされるわけではありません。せっかく親がいい話をしたのに、子供が作文の中ではその話をほんのわずかしか書いていないということはよくあります。しかし、親が話した内容は、子供にとっては感情を伴って吸収しているものですから、読書で得た知識よりもずっと深く子供の頭脳に定着しているのです。

 この対話で重要なことは、親自身も対話を楽しむということです。子供の頭脳は、楽しい雰囲気でいるときに最も活性化します。楽しい対話でありながら、親は、その内容を少し難しい言葉を使って、少し複雑な文で、少し難しい内容を盛り込みながら話していきます。

 子供の作文を見るときの対話も同じです。よく子供の作文を見て、すぐに欠点を注意したり直したりする人がいますが、それは禁物です。欠点は、読書や対話の中で自然に直るだけの力がついてくることによって直っていくのです。作文を直接直すことを続けていると、子供は次第に作文を見せなくなります。また、作文を書くときも、勉強のような感覚でしぶしぶ書くようになります。それらはすべて、親の接し方に問題があります。子供の作文を見るときも、基本は楽しく対話をする材料として見ていくということです。

 作文を書く前にも対話をし、書いた作文が返ってきてからも対話をして、作文と、生活と、日本語力の向上とが、ひとつにつながるような勉強の仕方をしていくことが小学校中学年の勉強の理想です。そのためのポイントは、楽しく明るくということと、読書と対話を中心にということです。そして、対話に使う語彙をその子供にとって興味が持てる範囲で、少しずつ高度にしていくことなのです。

■言葉の森の作文では、どういう勉強をするか

・作文の字数は、300字から800字です。
・毎週作文に書く題名が決まっています。その題名に合わせて書くことを準備してくることが大切です。
・月に1回感想文の課題があります。この場合も、課題の長文に合わせて似た話を準備してくることが大切です。
最初のうちは、どの子も、自由な題名の方が書きやすいと言います。しかし、課題作文に慣れてくると、次第に課題に合わせて準備することが勉強の目標になり、課題作文も楽に書けるようになります。
・小学校3、4年生は、読書も作文もいちばんのびのびと進む時期です。楽しい作文をたっぷり書き、好きな本を心ゆくまで読むことを目標にしていきましょう。
・小学校3、4年生の時期は、子供の心の中にも、より上手に書きたいという気持ちが出てきます。しかし、親が、ほかの子の上手な作文と比較して競争をあおるとかえって逆効果になります。親は自分の子供の作文のよいところだけを見て、その内容をそのまま認めてあげることが大切です。



 創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森の特徴(83) 

コメント欄

森川林 2020年2月9日 11時26分  
 小学3、4年生は、読書も、作文も、そして遊びも最も楽しく進む時期です。
 だから、この時期に、塾で受験勉強の先取り学習を始めるというのは早すぎます。
 その結果、どうなるかというと、成績は上がるが、読書量が減り、生活に余裕がなくなり、将来の勉強嫌いの元が生まれるのです。
 今、いい学校は出たらしいが、仕事ができないという人が増えています。
 実力を育てることを後回しにして、受験対応の勉強だけをしてきた結果です。
 受験するときは、受験勉強に特化した勉強に集中することは必要です。
 しかし、それまでは生活の余裕の中で、実力を育て、さまざまな可能性を広げていく時期なのです。


nane 2020年2月9日 11時32分  
 小学生のうちに大事なことは、読書をすること、自由な遊びをすること、算数が苦手にならないようにすること、そして、家族でできるだけいろいろな話をすることです。
 今の世の中は、競争と勝敗を軸にして回っています。
 しかし、未来は競争と勝敗の代わりに、創造と貢献の時代になるのですから、子供たちもそれに合わせて成長させていく必要があります。

コメントフォーム
新小学3、4年生の勉強の仕方―作文力と読書力が最も伸びる時期 森川林 20200209 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
りるれろ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「りるれろ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森の特徴(83) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
テスト送信Fi 森川林
 FileZillaを起動したあと、「ファイル」→「サイ 10/17
森川林日記
Re: アンケ 森川林
 ありがとうございます。  確かに、やることがたくさんある 10/2
森のアンケート
Re: 小3、 森川林
 ありがとうございます。  子供は、褒めてみんなよくなるの 10/2
森のアンケート
Re: アンケ 森川林
 ありがとうございます。  月曜日は確かに振替休日が多くな 10/2
森のアンケート
Re: 先生で 森川林
 ありがとうございます。  生徒と先生の関係は、ただ勉強を 10/2
森のアンケート
アンケート りっさーパンダ
いつもお世話になります。 作文のクラスで1年ほどお世話にな 10/2
森のアンケート
Re: 「素の かきくけ
丁寧なご説明をありがとうございました。 > 「素の自分 10/1
森の掲示板
Re: 「素の 森川林
「素の自分」の読み方については、以下のように説明できます: 10/1
森の掲示板
小3、作文クラ みきみき
作文クラスに参加して8か月がたちました。全てに満足しているの 9/30
森のアンケート
「素の自分」の 国語勉強
「素の自分」を「すのじぶん」と読む人が多いですが、これを「そ 9/30
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習