題名 | 森リン解説 48 |
名前 | 森川林 |
時刻 | 2005-01-07 15:08:55 |
森リン12月のベスト5で、それぞれの学年ベスト1は、小3以下の部オーロラさん、小4の部ガンダムさん、小5の部脩さん、小6の部電気工事のおっさん芳本卓也さん、中1の部シーラカンスさん、中2の部ミュウさん、中3の部プーさん、高校生の部カノンさん、でした。
オーロラさん(小3)の「ハッピークリスマスコンサート」の一文です。 たとえを上手に使い、ユーモアの感じられる楽しい場面を思い出して書きました。 ==== 練習のとき、よく先生から 「肩をおろして。」 と注意されたのですが、このおどりの衣装のそでは、まるで風船みたいにふっくらしていたので、肩が上がっているかどうかわかりませんでした。(笑) 「眠り」のコーダで、最後はステージに全員が出てきておしまいです。リハーサルのときなかなかうまくいかなかった小さい子たちも急いで出てきて、きれいにならんでポーズを決めました。私はホッとしてうれしくなりました。うれしい気持ちのまま、にこにこしておじぎをしました。 ==== ガンダムさん(小4)の「勝ちあり負けあり逆転あり」の一部です。 時間にしたらわずか数秒の場面をくわしく書いて盛り上げています。文章力を感じさせる作文です。 ==== 以前、こんなことがあった。皆がヒットを打って、満塁の時、打順が僕に回ってきた。打席に立ちテニスラケットを持って、ボールが来るのを待ちかまえた。ピッチャーがボールを投げ、僕のところに飛んで来た。と、その瞬間、「スパーン。」と、いい音が鳴り、ボールは、ふっ飛んでいった。ホームランにはならなかったが、左中間を抜け、外野を抜け、すごい速さでボールは転がっていった。一塁を回り、そして二塁、三塁と回った。相手のチームはやっとボールを取ると素早く返却してきた。ボールは迫っていたが、僕はホームベースに向かって思い切って猛スピードで走った。すると、ボールとホームにほぼ同時に着いた。 僕は息を飲んだ。すると、ホームを守っていた子がボールを落として、エラーになったので、結果はセーフ!十三点差をつけて勝ったのである。野球を始めて以来こんなに嬉しいのは初めてだった。まるで、胴上げをされているかのように、心は嬉しくて、はちきれそうであった。 ==== 脩さん(小5)の「「これまでの人の観察や」の感想文」の一部です。 自分の読書の体験を、課題文のテーマに結びつけて、具体的に書いています。 ==== ぼくが、今までに二度も読んだおもしろい本は“Wishing Chair”というアドヴェンチャーの物語だ。現実には出来ないけれども、この本の中では、いすが空を飛んで自分の行きたい所へ連れていってくれる。マジシャンのチンキーは、特別な絵の具をぬって物を透明にしたり、自分を小人にして、ねずみの住家に友達を助けに行ったりした。読んでいるうちに、ぼくがまるで主人公のチンキーになったように、飛べるいすに乗ってぼう険をしているような気になった。一度読み終えてしばらくたってから、また急にこの本を思い出して読みたくなった。二度目はすでにストーリーが分かっていたので、最初の時よりは、こうふんできなかったけれども、前に見逃した他のおもしろい所をたくさん見つけた。 ==== 電気工事のおっさん芳本卓也さん(小6)の「僕の中には何があるんですかぁ。」の書き出しの部分と結びの部分です。 書き出しと結びを対応させながら、大きいテーマをしっかり考えてまとめています。 ==== 僕の中には何がある・・・。小学校三年生のある日ふと考えた。僕ってどんな資質があるのだろう。答えはすぐには見つからなかった。 (中略) 三年前、僕にはどのような才能・資質があるのかという問題に、やっと今解答が出せた。 そう、ぼくはこの問題の解答用紙に今、答えを書き込んだのである。でも僕はこれは10問あるうちの1問であると思う。きっと僕にはまだまだ別の才能があるはずである。 この残りの9問の答えを解答用紙に書き込むのは、これから先の人生、というのは中学、高校、大学や会社勤めの中でゆっくりゆっくりと書き込んでいくものであると思う。 この問題の試験時間は僕の生涯の幕を下ろすまで。この問題の答えを、解答用紙に書き忘れないように、つまり自分が持っている才能に気付かなかったりしないように、これから先の長い長い人生を過ごして行きたいと思う。 ==== シーラカンスさん(中1)の「行列本来のよさ」の一部です。 社会実例をうまく使って、語彙を豊富に書いています。 一つの文に一つか二つ読点を入れておきましょう。読点の打ち方は、ここを参考に。↓ http://www.mori7.net/mori/20021101.html#1433 ==== その理由は第二にルールを守らないと混乱が起こるからだ。データとしてはテーマパークで有名な東京ディズニーランド・シーの合計入場者数が3億人をこえるという実例だ。ここは場内の管理がしっかりしていてその時間帯に一枚だけ取れるファストパスというものがあって無料でもらえる。また辺りを見まわしてもゴミが落ちていることなんてめったにない。子どもは行列で長い間待ち続けることを嫌う。そこでアトラクションを増やしたり、一ゲームを短くする工夫をしている。 ==== ミュウさん(中2)の「断ること」の一部です。 断ることが苦手な日本人という話を、昔話を引用してユニークにまとめています。 「……惜別し、断れなかった」は、日本語の文としてやや不自然か。しかし、難しい語彙を使おうとしたところはよく努力しています。 点数が高いので、更に高度な注文をつけると(笑)、「……のである。……のである。」と同じ文末が続くところはもう一工夫。 ==== 日本昔話に「浦島太郎」という物語がある。彼は、海亀を助けて竜宮城に行き、贅沢な持て成しを受けた。しかし、竜宮城の皆が親切にするため、惜別し、断れなかった。長時間過ごすつもりはなかったものの、数十年過ごしてしまったのである。玉手箱を貰おうなんて思わなかったが、城内の者を悲しめたく、そして、残念にさせたくないと思ったから、結局は受け取ってしまったのである。この物語には、日本昔話だけあり、日本人的なことが描かれている。 ==== プーさん(中3)の「言葉を大切にすることは」の一部です。 社会実例を具体的なデータを入れて引用しています。引用の仕方の理想は、自分が本などを読んでよく知っているものを噛み砕いて使うことです。ヒットラーの伝記では読みたくないでしょうから(笑)、同時代の「アンネの日記」などを読んで生かしていくといいでしょう。 ==== そのための方法としては第二に異なる文化の言葉も尊重していくべきだ。ヒットラーと言う一人の人物がいる。その人の伝記を見るとこう書いてあった。1889年4月20日、オーストリアBraunau Am Inn(ドイツババリア地方との国境付近) という小村に生まれた。そして佳あれは反ユダヤ主義者となりドイツを動かしていった。ユダヤ人の文化を尊重せずに大量に虐殺をしてしまった。 ==== カノンさん(高2)の「流転の時代に」の一部です。 特許という社会的な話を、微生物という自然科学の分野の実例にあてはめてうまく説明しています。 森リンの採点によると、文の長さの平均が46字で、20字以下の文が一つだけとなっています。短い文をところどころに入れ、文の長短の変化を出していくと更にリズミカルな文章になると思います。 ==== また江戸時代の享保六年(一七二一年)には、新たに物を作り出すことを禁止した「新規御法度」なども出され、新技術を拒否する動きが見られた。ここにきて日本は産業面で大きく飛躍したが、まだどこか鎖国時代のように、変化は悪だといった消極的な考えがあるように思われる。 ……(中略)…… 微生物は何万年も前から進化もせず、単細胞のままで生存し続けている。なぜ、微生物が進化しないのかと聞けば、それは生きていく上で進化する必要がないからである。生物とは基本的に進化しないのが普通であって、進化する生物は周囲の環境などに適応しないと感じるから、変わっていこうとするのである。この定義は人間にもぴったり当てはまっているように感じられる。 ==== |