題名 | 「学力をつける100のメソッド」より 32 |
名前 | 森川林 |
時刻 | 2004-06-04 10:39:09 |
PHPから、「学力をつける100のメソッド」という本が出ています。中身は陰山英男さんと和田秀樹さんの対談です。
参考になる話が盛り沢山ですので、その内容を紹介していきたいと思います。 ●子供を見つめることがスタート 陰山さんも和田さんも、まず自分の子供の実態を親が正しく見ることが大切だと述べています。 子供の実態を知るとは、テストの成績を知ることではありません。どういうテストをしてどこができてどこができなかったかを知ることです。実は、こういう把握の仕方をしている親はあまり多くありません。ほとんどの親は、テストの結果だけを見て「できた」「できなかった」と言っています。 和田さんは、親は子供の教科書を全部読むべきだと述べています。私も、これは同感です。高校生の教科書は無理だとしても、中学生までの範囲であれば、親が教科書を全部読んでおく必要があると思います。まず事実を知ることが最初のスタートです。 ●生活習慣とコミュニケーション 陰山さんは、「早寝早起きが大切だ」と述べています。 大人は、明日は休みだから遅くまで起きていようとか、今日は休みだからゆっくり寝ていようという生活の仕方をよくします。しかし、子供は、そういうムラのある生活をするべきではないと思います。というのは、大人の場合は生活習慣がもう固定しているのに対し、子供は生活習慣そのものが形成途上にあるからです。子供の生活は、いつも同じ時間に起きて同じ時間に寝るという生活の仕方をする必要があります。親が、今日はくたびれたからゆっくりしていたいと思っても、だから子供もきょうはゆっくりでいいよと巻き添えにするべきではありません。 和田さんは、親子のコミュニケーションによって子供の心理が安定すると述べています。 言葉の森の教室でも、よく「先生、先生」とまとわりつくような形で話しかけてくる子がいます。そういう子の多くは、学校生活の中で疎外されています。学校というのも一つの生きた社会ですから、担任の先生との相性が悪く、仲のいい友達もいないという年もあります。だれでも、子供時代を思い出してみると、あの学年のときは楽しかったが、あの学年のときは何も思い出がないということがあると思います。学校生活が楽しくない子供を優しく支えてあげることができるのは家庭だけです。 学校でも家庭でも楽しく過ごせないという子が、勉強だけは熱心にするということはありません。安定した場所がなければ、何をしても注意が散漫になります。子供に勉強をさせる以前に、子供が安定した気持ちを持てるような家庭にする必要があります。 ●毎日の勉強の習慣をつける 陰山さんは、「学年×15分〜20分」を勉強の時間の目安としています。和田さんは、毎日続けることを強調しています。 最近、学習塾に通う子が多いので、その子たちの中には、かえって、「塾のない日は勉強しなくていい」という思っている子も多いようです。学習塾の弊害は、本来家庭ですることを塾にお任せしたような気持ちになってしまうことにあります。 言葉の森の長文音読でも、ときどき保護者の方から「長文の感想文のない日は音読しなくてもいいんですよね」という質問があります。勉強の本質を知っている人ならば、こういう質問はしません。勉強というものは、雨の日も風の日も休みの日も普通の日も、いつも同じように続けていくものです。特に、習慣の形成途上にある子供にとっては、1日でも休むとそれだけ習慣の形成が遅れます。これは生活習慣の固定した大人と全く違うところです。大人の仕事には週休2日がありますが、子供の勉強には1日も休みはありません。旅行に行ったら旅行先でも朝の長文音読をするべきなのです。しかし、これは、勉強漬けの生活をすることではありません。時間は、陰山さんが述べているように「学年×15分〜20分」という短いものでいいのです。勉強が終わったら、あとはたっぷり好きなことをすればいいのですが、勉強をするということだけは毎日していく必要があります。 |